医学部は難易度が高く、多くの大学で平均の偏差値65以上は必要。上位の大学は偏差値70〜75くらいが目安で、相当な勉強量が必要です。
つまり、医学部を目指して勉強するなら、早いほど良いということになります。
ここでは「いつから医学部受験の準備を始めるべきか?」を解説します。
医学部受験の準備は早いほど有利。思い立ったときが勉強を始めるタイミング
最初にお伝えしたように、医学部対策の勉強は大変です。私立ならまだ良いですが、国公立は科目数が多く、主要5科目を全て勉強しなければいけません。
つまり勉強時間は多いに越したことはなく、対策を始めるタイミングも早ければ早いほど良いです。「医学部に行きたい」と本気で思ったら、そのときが勉強をスタートするタイミングといえます。
早い人は小・中学生から勉強するが、高校から本格的に勉強する人も意外と多い
「医学部予備校ガイド」さんのリサーチによると、小学生・中学生の時期から医学部対策を始める人も多いですが、高校に入学してから本格的な勉強を始める人も意外と多いという結果が出ています。
もともとご両親が医師の場合、早い時期から「医学部に行こう」と考えやすいです。また、中高一貫校に通っていると周りに医学部志望の人がいて、周りに刺激されて早くから対策を始めるケースもあります。
こうした場合は早めに準備できますが、学校内の偏差値で55〜65くらいあれば、高校に入ってからでも医学部対策は間に合います。
小・中の時期から勉強を始めれば、確かに時間的な余裕はあります。ただ、入試までの時期が遠いため、「まだそんなに焦らなくていいか」と油断してしまうことも多いです。
勉強は時間や量も大切ですが、「質」も大切。そこそこの勉強を小・中から始めるより、高校からでも「自分は遅れている。絶対に取り返す!」と危機感をもって勉強する人のほうが、学力の伸びが良い傾向にあります。
現役合格者は「高2の6月末」までに勉強を本格スタートした人が多い。高3からの勉強開始は、浪人の可能性が高まる
高校からでも間に合うとはいえ、やはり「ここまでには対策を始めるべき」というラインがあります。
それは勉強時間を確保しやすい夏休み前の、「高2の6月末まで」です。
やはり1年半くらいの時間がないと、医学部対策は間に合いません。高2の夏くらいまでに勉強を始めれば、合格ラインに達することはできるはずです。
ただし、上の時期はあくまでも現役合格がギリギリ間に合う時期。高2の春や高1の間に始められると、より余裕をもって対策しやすくなります。
医学部について調べたり、実際に大学を見学したりして、モチベーションを高めよう
早めの準備が大切とわかっていても、なかなか動けないことはよくあるものです。
「今から受験を意識して勉強するしかない!」というモチベーションを高めるには、医学部をよりリアルに感じるため、次の3つのことをしてみましょう。
- 家から近い大学や、気になる大学の受験科目・偏差値を調べてみる。
- 両親・学校の先生・友人、周りの人などに相談してみる。
- 医学部予備校のホームページを見てみる。できれば相談しに行ってみる。
1. 家から近い大学や、気になる大学の受験科目・偏差値を調べてみる
医学部が気になったということは、どこかピンときた大学があるはず。家から近い大学医学部や興味のある医学部について、まずは調べてみましょう。
旺文社の「パスナビ」というサイトでは、日本全国にある大学の情報を検索することができます。
たとえば「千葉大学」を検索して医学部の入試科目を見てみると、2020年から始まる共通テストで7科目(英・国・数1A・数2B・理科2科目・社会1科目)合計450点、二次試験で3科目(ただし理科は2科目で、英・数(3まで)・理)1,000点必要なことがわかります。
こんなふうに気になる大学を調べてみることで、「もしかしたら、頑張れば行けるかもしれない」のようなモチベーションになります。
2. 両親・学校の先生・友人、周りの人などに相談してみる
周りの人に相談もしてみましょう。「医学部を受験してみたいけど、どう思う?」と切り出してみると良いです。
医学部へ入るには自分の努力だけでなく、周りの人による協力も必要な場合があります。勉強に集中するには遊びや部活をある程度は諦めないといけないことが多く(両立できる人もいますが・・)、学習を邪魔されないようにする必要もあります。つまり学校の先生・友達・両親にも自分の目標を知ってもらい、協力・応援してもらうことが大切なのです。
さらに費用の問題もあり、「両親の収入で予備校に通わせてもらえるか、大学の学費を出してもらえるか」も確認しておく必要があります。
ちなみに医学部の予備校は、河合塾や駿台のような大手予備校の医進コースなら年間100〜150万円ほど。ただ、医学部専門の予備校は年間500〜1,000万円ほどかかることが多く、とても高額です。
また、医学部は他の学部と違い6年制で、国公立大学なら6年トータルで350万円ほど、私立大学は2,000〜5,000万円ほどかかります。
医学部へ進学する場合、受験から大学卒業まで、相当大きなお金がかかります。医学部に行きたいと思っても費用的に難しいこともあるため、勉強を始める前に確認しておきましょう。
3. 医学部予備校のホームページを見てみる。できれば相談しに行ってみる
医学部予備校のホームページを見るのも、勉強へのモチベーションを高めるために効果的です。
予備校の特徴やカリキュラムを見ていると、「これなら受かるかも・・。ここで勉強したい」のように、受験勉強をよりリアルに感じられるようになります。自分で勉強しようという意欲は大切ですが、やはり予備校の先生・教材・情報・環境も必要です。
また、できれば予備校に問い合わせて、ご両親と一緒に相談しに行ってみると良いです。相談や詳しい話を聞くだけなら料金はかからないため、まずはどんな学習環境・カリキュラムで学べるのかを知ってみてください。
医学部予備校のスタッフはカリキュラムや特徴を教えてくれるだけでなく、これからの学習アドバイスや合格診断、もし予備校を利用することになった場合の学習プランなども提案してくれます。こうした情報だけでも、医学部受験に向けて1歩踏み出すのに役立つはずです。
予備校・塾に行かなくても、医学部に合格することはできる。ただしハードルは高い
学校の勉強と独学だけで医学部に合格する人は、実際います。今は質の良い参考書や問題集がたくさんあり、月2,178円(税込)で使える「スタディサプリ」のような映像授業のサービスもあります。こうした教材を活用すれば、塾や予備校を利用しなくても合格できる人はいます。
ただ、実際のところ、独学での合格はハードルがとても高いです。ハイレベルな内容を自分自身で理解する必要があることに加え、自分で学習計画の作成やモチベーション維持などもしなければいけません。
本気で医学部を目指す気持ちがないと、どこかで諦めてしまう可能性は十分あります。
目安として、今の時点で模試(河合塾・駿台)の偏差値が60以上あるなら、独学を考えてみるのも良いでしょう。
費用さえ大丈夫なら、予備校・塾を利用するほうが良い。4つの理由
独学で医学部に合格する人はいるものの、費用さえ許してもらえるなら、やはり予備校や塾を利用するほうがおすすめです。その理由は次の4つです。
- 勉強に自信があっても、自己流の勉強法を見直せるため。
- 周りの医学部受験生から刺激を受けられ、合格してからも良い友人になるため。
- 医学部合格は甘くない。予備校をフル活用するほうが合格率は高くなるため。
- 面接・小論文対策をしやすいため。
ちなみに予備校の費用は、河合塾や駿台などの大手予備校は年間100〜150万円ほど、メディカルラボや富士学院など、医学部専門の予備校(医学部予備校)は年間500〜800万円ほどが目安。特に医学部予備校の費用は高額なため、予算が合うかは家族で相談が必要です。
1. 勉強に自信があっても、自己流の勉強法を見直せるため
いくら勉強に自信があったとしても、医学部受験は油断できません。
「予備校なんて必要ない。大丈夫」と自分のプライドを大切にするのも良いですが、「多少は成績が良いけれど、自分はまだまだ。予備校でさらにレベルアップしたい」と謙虚に学ぶほうが実力を伸ばせることが多いです。
独学だと、自己流の独りよがりな勉強法にしがみつくことになります。予備校ではプロの先生・スタッフから指導・アドバイスを受けることで、ベストな学習を実施できます。
2. 周りの医学部受験生から刺激を受けられ、合格してからも良い友人になるため
予備校にはほかの医学部受験生と一緒に勉強でき、何かのきっかけで友達になることもよくあります。
もちろん周りの人も医学部を受験するためライバルではありますが、頑張って勉強する姿を見ることで、大きな刺激を受けられます。
また、医学部を目指す人は「こんなことまで考えているのか」「ここまでやるのか」という高いモチベーションで勉強している人もいるもの。「自分は十分頑張っていると思っていたけれど、まだまだだ・・」と反省することもあるかもしれません。
一緒に予備校で勉強を頑張った友達は、晴れて大学に合格してからも良い友人になることは多いです。刺激し合える仲間ができるという意味でも、予備校に行く価値はあります。
3. 医学部合格は甘くない。予備校をフル活用するほうが合格率は高くなるため
自分で勉強していると、どうしても甘えが出やすいものです。
- 「今日はこれくらいでいいか」
- 「いつも頑張っているし、今日は遊ぼうかな」
こんなふうに行動を決めてしまいがちですが、医学部を目指す人は必死に勉強しています。「少しくらい、大丈夫だろう」と思っていた緩みが積み重なり、大きな遅れにつながってしまう可能性があるのです。
予備校では常に周りの受験生が勉強している様子が目に入り、スタッフが「勉強どう?」と声をかけてくれたり、定期面談があったりします。自分だけでは出しきれない、最大限の力を引き出す手伝いをしてくれるのです。
4. 面接・小論文対策をしやすいため
医学部入試は一般入試でも、面接や小論文を課されることが多いです。独学でも学校の先生などに協力してもらいながら対策することはできますが、予備校を利用するほうがやはりしっかりとした対策が可能。
医学部の面接・小論文は過去問がないことも多いですが、予備校は卒業生から情報を提供してもらっています。こうした情報を元に準備して入試を受けるのと、全て自分だけで準備するのとでは、やはり差がつきやすいです。
予備校に行くほうが良い人・独学でも良い人
ここまでを踏まえて、予備校と独学、それぞれに向いている人を紹介します。
予備校向きの人 | 独学でも良い人 |
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「質を保って圧倒的な勉強量をこなすこと」
これさえ達成できるなら、予備校でも独学でも構いません。
ただ、独学はどうしても自分の限界を超えにくいため、プロ講師・良質なテキスト・学習のサポート・自習室・寮などが揃っている予備校を考えてみる価値はあります。
医学部受験でやるべきことは多い。今から入試までの時間を意識しよう
医学部受験で勉強するべきことはたくさんあり、全ての科目を高い完成度で仕上げる必要があります。そのためには小・中学生から対策を始められると良いですが、高校生からでも間に合います。現役合格を目指すなら遅くても高2の夏、できれば高1の間か高2の春にはスタートしましょう。
また、「よし、頑張ろう!」と気持ちを固めるには、医学部受験をリアルに感じることが大切。気になる大学を調べる、家族や友達、学校の先生に相談する、予備校に問い合わせる、など、できることから始めてみてください。