「医学部を目指したい」と話すわが子の姿に、頼もしさを感じたのもつかの間。
最近は「数学が本当に苦手で…」と悩んでいる様子が目立ち、不安を感じることも。
医学部受験では数学の配点が高く、苦手なままでは厳しいという現実があります。
親として「なんとか力になってあげたい」と思う反面、どう支えればいいのかわからず、もどかしさを感じている方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、「数学が苦手=医学部は無理」と決めつける必要はありません。実際に、「数学が足を引っ張っていたけど、工夫次第で合格できた」というケースは少なくありません。
この記事では、お子さんがどうしても数学を苦手にしている親御さんに向けて、ご家庭でできる支援のポイントや、医学部予備校という選択肢を紹介します。
数学は医学部受験における最重要科目。対策はほぼ必須
医学部受験で、数学は最重要科目のひとつ。
多くの大学で数学が必須科目とされており、その配点比率や出題傾向からも、合否を大きく左右する決定的な科目といえます。
医学部での勉強は暗記が中心と言われますが、論理的思考力や問題解決力も不可欠。
数学がその基礎力を測る役割を担っています。
医学部合格を目指すなら、数学の対策は避けて通れない「ほぼ必須」のものといえるでしょう。
医学部入試の数学の配点比率は、国公立の二次試験、私立の個別試験で約3割ほど
国公立大学の医学部では、二次試験(個別学力検査)で数学の配点が全体の約3割を占めるケースが一般的。
たとえば千葉大学医学部では2次試験1000点中300点(三重大学は700点中200点)と、主要3科目の中でも高い比率です。
また、私立医学部でも同じく、数学が全体の25~33%ほどを占める大学が多く、やはり数学は重要科目となっています。
私立医学部は理解するだけでなく、スピードと正確さが求められる
私立医学部の入試では単に問題を理解するだけでなく、限られた試験時間内に多くの問題を正確かつスピーディに解く力が求められます。
問題数が多く、計算量も多い傾向があり、時間配分を誤ると得点を大きく落としてしまうことも珍しくありません。
したがって基礎の徹底はもちろん、過去問演習や模試を通じて「スピード」と「正確さ」を身につけることが、私立医学部合格への大きなカギ。
日頃から時間を意識したトレーニングを積み重ねることが超重要です。
記述式で答案を作成する必要のある大学も多く、「説明できる力」も必要
医学部入試では、マーク式だけでなく記述式の問題を課す大学も多くあります。
記述式では途中式や考え方、解法の根拠を論理的に説明する力が問われ、単に答えを出すだけでなく「なぜそのように解いたのか」を自分の言葉で説明できる力が必要です。
この力は医学部入学後の学習や、医師としての臨床現場でも不可欠なスキル。
普段の学習から「説明できるか」を意識して記述の練習をすることで、高い得点を狙えるようになります。
医学部志望なのに数学が苦手…。親御さんができる7つのサポート
大学受験レベルになると、親御さんがお子さんを教えることは難しいもの。
お子さんが数学で苦戦している状況を目にしつつも、「何も手伝ってあげられない…」と感じることもあるかもしれません。
ただ、実は親御さんが手伝ってあげられることもあるため、できる範囲で一緒にサポートしてあげてほしいと思います。
現状のレベルを正確に把握する手伝いをする
合格に向けた対策を進めるには、まず現状の学力を正確に把握することが第一歩。
学校の成績や模試の偏差値だけでは、つまずきの本当の原因は見えません。
【具体的アプローチ】
- 模試の偏差値や判定だけでなく、各科目の分野ごとの出来具合をチェックする。
- 医学部予備校(メディカルラボ・富士学院・YMS・野田クルゼなど)で受けられる、医学部受験生向けの模試や学力診断テストを利用する。
- 過去問を解いてもらい、解答過程のどこでつまずいているかを確認する(計算ミスなのか、解法自体がわからないのか)
数学だけ医学部予備校や個別指導、家庭教師を利用する
全科目セットの予備校では、数学の苦手を十分にフォローしきれないことも多いもの。
数学だけが足を引っ張っているなら、数学だけ医学部予備校に通う、家庭教師やオンライン個別指導をつけるのも効果的な手段です。
【具体的アプローチ】
- メディカルラボや富士学院の個人指導などで、数学だけ個別指導を受ける。
- 東大生が1対1でオンライン指導してくれる「トウコベ」などの個別指導を利用する。
レベルを一旦下げて、基礎から重点的に固めるよう勧める
勉強に自信を持てない子は、「わかる」「できる」の積み重ねが特に必要です。
医学部を目指すために意外と背伸びして教材を選んでいることはよくあるため、レベルを一旦下げるのもひとつの方法。
「急がば回れ」というように、自分に合ったレベルで学習を進め、少しずつレベルアップするほうが結果的に学力の伸びがスムーズな場合も多いです。
【具体的アプローチ】
- まずは教科書レベルの基本問題を100%正解できるようにする。
- 解けた問題をチェックして視覚化する。
- 青チャートやフォーカスゴールドを使っているなら、黄チャートに落とす。
- 難関大対策の「標準問題精講」より、まずは「基礎問題精講」を完璧にする。
勉強の進め方を見直す
やみくもに問題集を解いても、得点にはつながりません。
特に医学部受験は「何を・いつ・どれだけやるか」が合否を左右するため、学習計画の立て直しが効果的なことも多いです。
学習の進め方を見直し、必要に応じて予備校などの利用を検討するのも良いでしょう。
【具体的アプローチ】
- 苦手な分野を中心に基礎から復習できるよう、計画を見直す。
- 学習管理メインの個別指導塾(「スタディコーチ」「東大先生」など)で、綿密なスケジュールを作成・管理してもらう。
家では「努力を認める声かけ」に徹する
お子さんが伸び悩むと、親御さんもつい不安から厳しい言葉を投げかけがち。
ただ、これは逆効果の場合が多いです。
点数や偏差値ではなく、取り組む姿勢や努力のプロセスに目を向けてあげるのが効果的。
「ちゃんと机に向かっているね」「集中していたね」など、小さな努力に気づいてくれる存在がいることで、お子さんは前向きになれます。
焦って叱責するより、相談できる第三者をつける
親だからこそ感情的になってしまう場合、医学部予備校や個別指導、家庭教師などを利用するのが得策。
本気で気持ちを切り替えるなら、実績がある医学部予備校を検討するのも良いですし、最近は費用を抑えて利用できるオンライン個別指導や学習管理塾も人気です。
【具体的アプローチ】
- 学力に不安のあるお子さんも手厚くサポートしてくれる医学部予備校に入る。
- オンライン家庭教師の体験授業を複数受け、ベストなサービスを利用する。
- まずは予備校や塾の学習相談・カウンセリングだけでも受けてみる。
苦手を「受け入れること」から始める
お子さん自身が「数学は自分には無理」と思っている限り、学習は進みません。
苦手でも対策できると伝えてあげることが、最初の一歩になることも多いです。
【具体的アプローチ】
- 「数学が苦手=頭が悪い」という誤った思い込みを解く。
- 「得意科目でカバーする作戦」も含めた受験戦略を考える(医学部予備校が得意)
- 数学が苦手でも、医学部に合格した先輩の体験談を探して取り入れる。
医学部受験の数学対策:今から始められる具体的な改善ステップ
数学の力を短期間で伸ばすには、やみくもに勉強を始めてもなかなか上手くいきません。
まずは見通しを立てて、「これならいける」という戦略を元にスタートしましょう。
Step 1:まずは苦手単元を突き止める(1〜2日)
まずは模試の結果や解いた過去問を分析し、具体的にどの単元・どのタイプの問題で点を落としているかを明確にしましょう。
【具体的なアクション】
- 過去3回分の模試の成績を見直し、間違えた問題の単元をリスト化してみる。
- 「数学1A」「数学2B」「数学3C」それぞれの正答率を計算してみる。
- よく間違える問題パターンを書き出す(例:確率の問題で場合分けミス、図形の証明問題など)
Step 2:基礎固めの教材を選定する(1〜2日)
苦手な部分を明確にしたら、次はお子さんのレベルに合った教材を選びます。
難しすぎる教材から始めると挫折リスクが高まるため、無理をせず基礎からしっかり固めましょう。
迷ったら、「黄チャート」または「基礎問題精講」がおすすめです。
Step 3:学習計画を立てる(1〜2日)
使う教材を決めたら、年間→月間→週間と、逆算する形で教材を進めるペースを決めます。
「高3の4月1日までに、数3Cまで終わっておきたい」と決めたら、それまでに取り組む教材のページ数も決まるはずです。
ただ、最初はやる気があって「1日10問でも解いてやる」というテンションでも、だんだんと気持ちが落ちてくる可能性は十分あります。
そのため、「無理のないペースで、続けられるか」を重視して計画は立てましょう。
Step 4:学習を習慣化する(1ヶ月)
ここまで進めたら実際に勉強を始め、継続できる学習習慣を作ります。
1ヶ月も継続できればそのまま続けられることが多いため、親御さんも声かけをしながら、まずは最初の1ヶ月をお子さんに頑張ってもらいましょう。
Step 5:医学部予備校や個別指導を利用する
独学では限界があると感じる場合、無理せず医学部予備校や家庭教師を利用するのが得策。
費用はもちろん必要ですが、その分だけお子さんに合わせた対策をしてもらうことができ、学習効果も高いです。
また、プロの指導・サポートという安心感もあります。
実際、多くの医学部合格者が予備校などを利用しているため、「独学でも合格できる」と考えるのは危険な場合も。
医学部予備校は最初のカウンセリングだけでも参考になる話や学習計画の提案などをしてくれるため、これだけでも今後の指針になることは多いです。
数学が苦手でも医学部に合格した子はいる
「数学ができないなら医学部は無理だよ」
そんな言葉を聞くたびに、親としても胸が苦しくなるかもしれません。
ですが実際には、数学が苦手だったにもかかわらず、合格をつかんだ受験生は確かにいます。
ケース1:模試で偏差値40台から逆転合格
中3の終わりから医学部を目指し始めたAくんは、数学だけがずっと足を引っ張る状態。
高2の模試では数学の偏差値が45前後。
そこで親御さんが医学部専門の予備校に相談し、数学だけ個別指導に切り替え。
“問題の読み方”や“式の立て方”から見直し、半年後には偏差値が10以上アップ。
最終的には地方国公立の医学部に合格。
ケース2:得意科目で引き上げつつ数学は基礎に徹したBさん
Bさんは理科と英語が得意で、数学だけが苦手。
難問を捨てて**「基本問題を落とさない戦略」に切り替える**ことで、二次でも最低限の点数は確保。
共通テストで高得点を取り、ボーダーを超えて合格。
ケース3:「自分には向いてない」と思っていたCくん
学校の先生に「医学部は厳しい」と言われたCくん。
親御さんが個別指導塾の体験授業に連れていき、雰囲気が合った先生と出会ったことが転機に。
数学の解き方だけでなく、勉強のやり方そのものが変わり、最後は第一志望の私立医学部に合格。
こうした生徒さんのポイントは、「苦手を自覚したうえで、正しい方法で向き合ったこと」
苦手なまま突っ込むのではなく、正しい対策をとったからこそ合格できたという共通点があります。
まとめ:苦手な数学に悩む子どもに、親ができることはたくさんある
「数学がどうしてもできない」
悩むお子さんを前に、親として不安を感じるのは当然。
ですが、苦手を理由に医学部をあきらめてしまうのは、あまりにももったいないことです。
大切なのは今の状況と正しく向き合い、お子さんに合った対策をなるべく早くスタートさせること。
特に数学は、やり方と教わり方次第で大きく変わる科目。
早めのサポートが、受験全体の流れも好転させる可能性を持っています。
なお医学部受験に向けた数学対策をするなら、やはり医学部予備校はおすすめ。
医学部予備校はエリアごとにおすすめの予備校が違うため、以下のランキングも参考にしてほしいと思います。