【2024】医学部のある大学一覧(全82校)国立・私立医学部の歴史による分類

2024年現在、日本では82校の大学に医学部があります。内訳は国公立50校、私立31校、準大学1校(防衛医科大)となっていますが、医学部には歴史があり、設立された時期によってカテゴリー分けされています。

日本の大学医学部一覧(2024年現在・82校)

国公立大学(51校(準大学含む))】

分類 大学
旧帝大
(7校)
東京大学・京都大学・大阪大学・北海道大学・東北大学・名古屋大学・九州大学
旧制医科大
(7校)
千葉大学・新潟大学・金沢大学・京都府立医科大・岡山大学・長崎大学・熊本大学
旧医専
(19校)
札幌医科大学・弘前大学・福島県立医科大学・群馬大学・東京医科歯科大学・横浜市立大学・信州大学・名古屋市立大学・岐阜大学・三重大学・大阪市立大学・神戸大学・奈良県立医科大学・和歌山県立医科大学・鳥取大学・広島大学・山口大学・徳島大学・鹿児島大学
新設医科大
(18校)
旭川医科大学・秋田大学・山形大学・筑波大学・富山大学・福井大学・山梨大学・浜松医科大学・滋賀医科大学・島根大学・香川大学・愛媛大学・高知大学・佐賀大学・大分大学・宮崎大学・琉球大学・防衛医科大学

私立大学(31校)】

分類 大学
私立御三家
(3校)
慶應義塾大学・東京慈恵会医科大学・日本医科大学
旧医専
(10校)
岩手医科大学・順天堂大学・昭和大学・東京医科大学・東京女子医科大学・東邦大学・日本大学・大阪医科大学・関西医科大学・久留米大学
新設医科大
(16校)
自治医科大学・獨協医科大学・埼玉医科大学・北里大学・杏林大学・帝京大学・東海大学・聖マリアンナ医科大学・金沢医科大学・愛知医科大学・藤田医科大学・近畿大学・兵庫医科大学・川崎医科大学・福岡大学・産業医科大学
2000年以降新設医科大
(2校)
東北医科薬科大学・国際医療福祉大学

国公立大学の医学部の歴史:東大医学部が日本で最初の医学部

医学部が設立された背景は、歴史と結びついています。

医学部の歴史は、幕末(江戸時代の終盤:1850〜1860年ごろ)・明治時代(1868〜1912年)から始まりましたが、当時は各地に「医学所」という、西洋医学を学ぶための学校がありました。

現在の東京・神田お玉ヶ池にあった「種痘所(しゅとうじょ)」という施設が幕府直轄の医学所とされ、東京医学校を経て東大医学部になりました。これが日本で最初の大学医学部です。

東京大学は明治時代の1886年に設立されましたが、そこから昭和の1930年代にかけて、日本の7都市に「帝国大学」が設立されました(東京・京都・大阪・北海道・東北・名古屋・九州)。現在では「旧帝大」と呼ばれる大学で、東大医学部で学んだ医師は旧帝大で指導をするようになりました。

【旧帝大(7校・全て国立)】

東京・京都・大阪・北海道・東北・名古屋・九州

また、これら旧帝大では「医学の研究」が主に行われており、患者さんの治療をする臨床医としての知識・技術の指導は「医学専門学校」で指導されていました。1919年に大学令という法令が施行され、帝国大学とは別の大学が各地に設置されるようになると、一部の医学専門学校は医科大学になりました。

これが現在では「旧制医科大」と呼ばれる7つの大学で、旧帝大に次ぐ歴史があります。

【旧制医科大(7校)】

国立:千葉大学・新潟大学・金沢大学・岡山大学・長崎大学・熊本大学
公立:京都府立医科大学

昭和の時代に入り、始まったのが第二次世界大戦です(1939〜1945年)。この頃から兵士として出向く人の治療や健康管理が急務になり、残っていた医学専門学校のうち19校が新たに大学となりました。これらの大学は現在「旧医専」と呼ばれ、旧制医科大とは区別されています。

【旧医専(19校)】

国立:弘前大学・群馬大学・東京医科歯科大学・信州大学・岐阜大学・三重大学・神戸大学・鳥取大学・広島大学大学・山口大学・徳島大学・鹿児島大学
公立:札幌医科大学・福島県立医科大学・横浜市立大学・名古屋市立大学・大阪市立大学・奈良県立医科大学・和歌山県立医科大学

戦後の日本は、急速に経済成長を遂げることになります。 1954年から1973年の「高度経済成長期」には日本の各地で景気が良くなり、医療の地域格差が問題視されるようになりました。「都会は良い医療が受けられるのに、田舎はどうなってるんだ!」という話になったわけです。

ここで病院の整備が進められるとともに、新たに医学部も増やされることになりました。防衛医科大を含む18校が新設され、これらは「新設医科大」と呼ばれています。

【新設医科大(18校)】

国立:旭川医科大学・秋田大学・山形大学・筑波大学・富山大学・福井大学・山梨大学・浜松医科大学・滋賀医科大学・島根大学・香川大学・愛媛大学・高知大学・佐賀大学・大分大学・宮崎大学・琉球大学
大学校:防衛医科大学

臨床を重視する目的で設立された私立大学の医学部

国公立大学の医学部は医学の研究・教育に重点を置いており、患者さんを治療する技術を学ぶ臨床医の知識・技術は私立大学で指導されました。

旧帝大よりは歴史が浅いものの、第二次世界大戦より前に設立され、旧制医科大と同じくらいの歴史がある私立大学は3校。これは「私立御三家」と呼ばれており、現在でも難易度がとても高いです。

【私立御三家(3校)】

私立:慶應義塾大学・東京慈恵会医科大学・日本医科大学

私立御三家に続き、各地にあった医学専門学校10校も私立大学になりました。これらは国公立大学の場合と同じく「旧医専」と呼ばれます。

【旧医専(10校)】

私立:岩手医科大学・順天堂大学・昭和大学・東京医科大学・東京女子医科大学・東邦大学・日本大学・大阪医科大学・関西医科大学・久留米大学

国立大学と同じく、高度経済成長期には私立大学にも医学部が16校に新設され、「新設医科大」と呼ばれます。

【新設医科大(16校)】

私立:自治医科・獨協医科・埼玉医科・北里・杏林・帝京・東海・聖マリアンナ医科・金沢医科・愛知医科・
藤田医科・近畿・兵庫医科・川崎医科・福岡・産業医科

2000年代に入ってからの新設医学部は2校のみ。どちらも私立

2000年に入るまでに全国の医学部は整備され、新たに新設されるケースは少なくなっています。

ただ、2016年3月11日には大地震である「東日本大震災」が東北で起き、東北の医療を支えるために東北医科薬科大学が新設されました。

また、2017年にはグローバル化や医療福祉に重点を置く「国際医療福祉大学」も新設されています。

【2000年以降の新設医科大(2024年現在・2校)】

私立:東北医科薬科・国際医療福祉大学

歴史のある大学ほど難易度は高め。分類は大学選びの目安になる

旧帝大・私立御三家・旧医専・新設医科大と分類されている大学医学部ですが、

歴史のある大学ほど、難易度が高い

という傾向があります。

また、医学部の分類と歴史、難易度の傾向を踏まえて、下のイメージで大学を選ぶと良いです。

  • 医学の研究をしたい → 旧帝大か私立御三家
  • 自分の学力で入れる医学部を探したい → 旧医専や新設医科大
  • 私立医学部は学費が高いから、費用を抑えたい → 国公立
医学部の分類や歴史は、志望校をどこにするかを決める上での目安になります。大学の偏差値や自分の学力で志望校を決める人もいますが、上のような目的に合わせて考えるのも大切ですね。