2020年に入ってから世の中に大きな影響が出ている新型コロナウイルス(COVID-19)。学校や予備校の授業が休みになり、医学部受験にも影響が出ています。
「ウイルスへの感染リスクが怖いから、医師になりたい人は減るのでは?」
こんなふうに思うこともあると思いますが、実際のところ医学部受験は今後も油断できない難易度です。
医学部の人気は、今後も変わらない可能性が高い。4つの理由
コロナウイルスによって、医師は感染リスクのある仕事ということが知られるようになりました。ただ、それでも医学部人気は今後も続くと予想されます。
その理由は、大きく4つです。
- 医師の重要性が再認識され、社会的な地位が上がるため
- 病気や病原体は他にもたくさんあり、コロナウイルスより怖いものもあるため
- 医師を増やすために募集定員が増え、チャンスが広がる可能性があるため
- 専門スキルが重視される今の時代、医師が高収入な状況は変わらず、さらに上がる可能性もあるため
1. 医師の重要性が再認識され、社会的な地位が上がるため
コロナウイルスによって、病院は対応に追われています。テレビでは「医師を含め看護師や薬剤師など、医療の仕事をする人にエールを送ろう」のようなフレーズも聞きます。
つまり「医師は人の命を救う、とても重要な仕事」ということが再認識され、もともと高い社会的な地位はさらに上がっています。
尊い医師という職業に憧れ、「自分は必ず、良い医者になって病気になる人を助けよう」と考えて医学部を目指す人は、今後もたくさんいると考えられます。
2. 病気や病原体は他にもたくさんあり、コロナウイルスより怖いものもあるため
新型コロナウイルスは確かに注意が必要なウイルスで、2020年4月現在の今はまだワクチンもないため、ニュースで大きく取り上げられています。
ただ、危険な病気や病原体は、コロナウイルスだけではありません。感染こそしないものの難病として多くの方が亡くなっている病気も多く、医師になるとたくさんの高いカベが待っています。医師になると、本当にさまざまな患者さんと向き合うことになるのです。
医学部受験は難易度が高いですが、それはその先にあるさらに高いハードルの準備ともいえます。
少し厳しいかもしれませんが、「コロナが怖いから、医師を目指すのはやめておこう」という人は、医師としてやっていくのは難しいかもしれません。つまり「コロナウイルスという病原体ひとつで、医学部人気に大きな影響はない」と考えられます。
3. 医師を増やすために募集定員が増え、チャンスが広がる可能性があるため
コロナウイルスに感染した患者さん、感染の疑いがある患者さんで、病院は今とても大変な状況になっています。通常の医療が提供できなくなる、人工呼吸器が足りなくなるなどの「医療崩壊が起きるのでは?」というニュースもあり、医師が足りないという見方もあります。
そのため今後は、募集定員が増える可能性があります(今の時点では、あくまでも予想です)。
募集定員が増えれば「チャンスがあるかもしれない」と考える受験生も増え、医学部の人気は上がります。
4. 専門スキルが重視される今の時代、医師が高収入な状況は変わらず、さらに上がる可能性もあるため
今の時代は、専門的なスキルが重視されています。できる人が少ないスキルほど高収入になる傾向があり、医師はその典型例といえます。
たとえば居酒屋やコンビニの店員は誰でも働きやすい仕事のため、給料は平均レベルになっています。「もう少し低い時給でも働きたいです」という人がたくさんいるため、時給が下げられるわけです。
これに対して「患者さんの健康状態を見極めて最適な薬を処方する」「症状が重い場合は必要に応じて手術を行う」のような医師がする仕事は、一般の人には到底できないものです。そのため給料は高めになっていて、年収1,000万円や2,000万円は普通レベルです。
また、今注目されているのが「AI(人工知能)」や「ロボット」です。「ペッパーくん」というロボットを見たことがあるかもしれませんが、今後はより高性能なロボットがさまざまな仕事をするようになると考えられます。
カンタンな仕事はペッパーくんのようなロボットに置き換わっていく可能性がありますが、ロボットが手術までできるようになるのは、まだまだ先と考えられます。
つまり医師は今後も「安定して働ける仕事」といえて、その高い専門性はますます価値が上がっていくことが予想されます。
変化の大きい今の時代、長く働ける仕事はなかなかありません。医師は安定性という意味でとても魅力的であり、この点に魅力を感じる人は多いと考えられます(もちろん医師は使命感が最重要な仕事ですが)。
入試内容やスケジュールには影響が出る可能性大
医学部人気への影響は少ないものの、コロナウイルスは入試の内容やスケジュールに影響が出る可能性は大いにあります。主に次の3点をチェックしておきましょう。
学校・予備校の休校による授業スケジュールの変更
学校の授業は先に進まず、予備校も休みや授業日程の変更、オンライン授業にシフトするなどの影響がすでに出ています。
医学部受験に向けた塾や予備校は今後も効果的ですが、授業の形式やサポート体制は大きく変わる可能性があります。オンライン家庭教師や通信教育など、学習方法の切り替えを考える必要があります。
入試日程の変更(今後の情報をチェック)
2020年4月の時点ではまだはっきりした情報がないものの、入試日程や入試の実施に影響が出る可能性は十分あります。今後の動向を見て判断するしかありませんが、常に最新情報をチェックしておきましょう。
面接や小論文でコロナウイルスについての質問が出る可能性あり
医学部の入試では筆記試験のほかに面接や小論文もあります。面接で「コロナウイルスについてどう思いますか?」のように聞かれる可能性があるため、前もって自分なりの考えをもっておく必要があります。
このとき確認されていると考えられるのは、「しっかりと論理立てて、自分の考え・意見を伝えられるかどうか」です。
コロナウイルスは「今後の予防・対策方法」「学生への影響」「世の中への影響」「会社で働く人と飲食店を経営している人」「若者と高齢者」「日本と世界」など、さまざまな切り口で考えることができます。
- テレビやインターネットのニュースや情報を見て、どう思うか?
- 今の状況を改善するために、自分なら何をするべきと思うか?
このあたりを、きちんと考えておきましょう。
医学部人気は今後も変わらない!コロナウイルスに惑わされず、入試に向けて勉強を続けることが大切
コロナウイルスは世間で大きく話題になっていて、医学部受験にも影響があります。ただ、医学部の人気は今後も高いと予想され、依然としてハードルは高いです。
コロナウイルスによって入試のスケジュールや面接の質問、学校・予備校の授業が変わる可能性はとても高く、すでに影響が出始めている部分もあります。ただ、情報収集をしつつも振り回されないように気をつけて、高い学力を身につけられるよう勉強していきましょう。