岐阜大学医学部は国公立の医学部として人気。学費も抑えられて研究医・臨床医を目指すための環境も整っていて、医学を学ぶ場として最適です。
ただ、岐阜大学医学部は難易度がとても高く、合格するにはしっかりと準備・対策をする必要があります。ここでは岐阜大学医学部の入試情報と医学部の特徴、入試に向けての学習ポイントを解説します。
とても高いレベルの学力が必要なので、しっかり頑張る必要があります。
データや大学の特徴を理解して志望校に決めたら、さっそく勉強を始めましょう!
- 1 岐阜大学医学部の基本データ
- 2 平成31年(2019年2〜3月)の入試データ
- 3 岐阜大学医学部、10の特徴
- 3.1 医学部憲章は「先進的研究と地域医療の推進に基づいた人材育成」。岐阜県唯一の医学部
- 3.2 岐阜大学医学部のルーツは昭和19年から。臨床・研究とも長い歴史があり、成果を上げている教員も多い
- 3.3 能動的に問題の解決に取り組む力を養う「テュトーリアル医学教育」に力を入れている
- 3.4 実践的な臨床実習である「クリニカル・クラークシップ」を重視している
- 3.5 「学生研究員制度」により、1年生から医学研究に関わることができる
- 3.6 5年次からは希望に応じて短期海外留学での臨床実習もあり、グローバルに医療を学べる
- 3.7 地域枠学生は「地域医療医学センター」で、在学中から卒業後の研修・指定勤務までサポートを受けられる
- 3.8 質の高い医学教育の認定を受けており、グローバルスタンダードとして認められる医学教育
- 3.9 研究分野では岐阜薬科大学や他の研究機関と連携して、トップレベルの先進研究を行っている
- 3.10 部活動も積極的。文化部15団体、運動部20団体(2020年現在)
- 4 岐阜大学の医学部入試、攻略・対策のポイント!
岐阜大学医学部の基本データ
【キャンパス情報・学費】
キャンパスの場所 | 〒501-1194 岐阜市柳戸1番1 |
オープンキャンパス | 2020年8月のオープンキャンパスは中止。 2020年8月にバーチャルでのオープンキャンパスを実施予定。 (岐阜大学・入試情報) |
学費 | 入学料:282,000円 年間授業料:535,800円 (半期授業料:267,900円) 6年間合計:3,496,800円 |
【前期入試科目】
【センター試験(共通テスト)】 5教科7科目 合計800点 |
国語:100 数学:1A・2Bの2科目:合計200 理科:物・化・生から2科目:合計200(基礎は不可) 英語:200(このうちリスニング:40) 地歴・公民:世B・日B・地理B・倫理政経から1科目:100 |
【2次試験】 3教科 合計1,200点 |
数学:400 理科:物・化・生から2科目:合計400 英語:400 面接:総合判定の資料とする (数学1A「データの分析」を除く) |
配点比率 (共通テスト:2次試験) |
40%:60% |
【後期入試科目】
【センター試験(共通テスト)】 5教科7科目 合計400点 |
国語:50 数学:1A・2Bの2科目:合計100 理科:物・化・生から2科目:合計100(基礎は不可) 英語:100(このうちリスニング:20) 地歴・公民:世B・日B・地理B・倫理政経から1科目:50 |
【2次試験】 3教科 合計1,200点 |
数学:400 理科:物・化・生から2科目:合計400 英語:400 面接:総合判定の資料とする (数学1A「データの分析」を除く) |
配点比率 (共通テスト:2次試験) |
25%:75% |
平成31年(2019年2〜3月)の入試データ
※2020年2〜3月の入試データは、2020年6月に公開予定です。
【偏差値の目安・ボーダーライン】
偏差値目安 | 67〜68 |
センター試験(共通テスト)得点率 (ボーダーライン・足切り) 合格者の最低・最高・平均点から算出 |
前期 最高:93.3% 平均:86.6% 後期 最高:93.7% 平均:88.5% |
【受験者数・合格者数・倍率】
前期 | 後期 | |
募集人数 | 32 | 35 |
志願者数 | 男:191 女:79 合計:270 |
男:570 女:216 合計:786 |
受験者数 | 男:162 女:67 合計:229 |
男:101 女:43 合計:144 |
合格者数 | 男:26 女:6 合計:32 |
男:24 女:12 合計:36 |
倍率 (受験者÷合格者) |
7.2倍 | 4.0倍 |
入学者数 | 男:26 女:6 合計:32 |
男:23 女:12 合計:35 |
【合格者の最高点・最低点】
最高点 | 最低点 | 平均点 | ||
前期 | センター (800満点) |
746.00 | ー | 692.85 |
2次 (1,200満点) |
1,068.00 | ー | 896.49 | |
センター+2次合計 (2,000満点) |
1,749.10 | 1,533.40 | 1,589.34 | |
後期 | センター (400満点) |
374.70 | ー | 354.02 |
2次 (1,200満点) |
1,038.00 | ー | 949.81 | |
センター+2次合計 (1,600満点) |
1,409.20 | 1,244.65 | 1,303.83 |
岐阜大学医学部、10の特徴
岐阜大学医学部はレベルが高いだけでなく、医療を学ぶ場としても最適な大学。主な特徴を10個のポイントで紹介します。
- 医学部憲章は「先進的研究と地域医療の推進に基づいた人材育成」。岐阜県唯一の医学部
- 岐阜大学医学部のルーツは昭和19年から。臨床・研究とも長い歴史があり、成果を上げている教員も多い
- 能動的に問題の解決に取り組む力を養う「テュトーリアル医学教育」に力を入れている
- 実践的な臨床実習である「クリニカル・クラークシップ」を重視している
- 「学生研究員制度」により、1年生から医学研究に関わることができる
- 5年次からは希望に応じて短期海外留学での臨床実習もあり、グローバルに医療を学べる
- 地域枠学生は「地域医療医学センター」で、在学中から卒業後の研修・指定勤務までサポートを受けられる
- 質の高い医学教育の認定(JACME)を受けており、グローバルスタンダードとして認められる医学教育
- 研究分野では岐阜薬科大学や他の研究機関と連携して、トップレベルの先進研究を行っている
- 部活動も積極的。文化部15団体、運動部20団体(2020年現在)
医学部憲章は「先進的研究と地域医療の推進に基づいた人材育成」。岐阜県唯一の医学部
岐阜大学医学部は、岐阜県内にある唯一の医学部。医学の研究が積極的に行われていて、岐阜県の地域医療にも力を入れています。入学する人は岐阜高校・滝高校(愛知)・東海高校(愛知)・岐阜北高校などを始め東海エリアの高校出身者が多く、地域の医療に興味がある人もたくさんいます。
岐阜大学医学部のルーツは昭和19年から。臨床・研究とも長い歴史があり、成果を上げている教員も多い
岐阜大学医学部の歴史は昭和19年、つまり1944年から。この年に岐阜県立女子医学専門学校という学校が開校され、その後、岐阜県立医科大学になります。さらに昭和42年(1967年)に国立の岐阜大学医学部となり、令和2年4月からは岐阜大学と名古屋大学の法人が統合され、東海国立大学機構・岐阜大学医学部となっています。
運営母体は変化しているものの、岐阜大学医学部の体制に大きな変化はありません。これまでの長い歴史の中で研究・臨床とも大きな成果を上げてきた人も多く、岐阜大医学部は岐阜県の地域医療・医学の研究に貢献しています。
能動的に問題の解決に取り組む力を養う「テュトーリアル医学教育」に力を入れている
岐阜大医学部が力を入れている教育に「テュトーリアル医学教育」というものがあります。これは「能動的問題解決」という力を養う教育です。
臨床現場や医学研究の場では、自分で問題を考え、その解決法も考える力が必要です。教授や主治医から言われたことに対してだけ考えたり行動したりするのではなく、今後は主体的に考えて行動する姿勢が大切になります。
岐阜大学はテュトーリアル医学教育を取り入れることで自主性・積極性を身につけやすくなっており、医療の世界で活躍できる人材育成を実現しています。
実践的な臨床実習である「クリニカル・クラークシップ」を重視している
臨床医は医療技術を身につける必要がありますが、そのためには実践が大切です。岐阜大学では実践的な臨床実習の方法として「クリニカル・クラークシップ」というものを取り入れています。
これは主治医の一員という立場で臨床実習をするもので、ボランティアの模擬患者がいる場での医療面接実習・診療実習などを行います。また、配属された医学研究室で研究手法や研究発表の方法を体験することで学び、希望者は地域の医療機関で実際に地域医療を体験することもできます。
岐阜大学は単なる学習・見学だけの教育だけでなく、「参加型の教育」を重視しています。今の時代はどの世界でも「即戦力」が求められますが、岐阜大学の教育はまさに即戦力となる力を養えるものといえます。
「学生研究員制度」により、1年生から医学研究に関わることができる
研究医に興味がある場合も、岐阜大学はおすすめです。「学生研究員制度」という制度があり、1年生のときから医学の研究に関わることができます。
何事も早い頃から始めるのは良いことであり、1年から少しずつでも医学研究に慣れていくことで、3年や4年になる頃にはかなり高度な研究にも携われるチャンスがあります。やる気がある人にはとても良い環境が用意されています。
5年次からは希望に応じて短期海外留学での臨床実習もあり、グローバルに医療を学べる
医学部の5年次からは、希望者向けに短期海外留学のプログラムも用意されています。
日本の医療は世界の医療とも関わっています。留学にはもちろん費用が必要ですが、今後はグローバルに活躍する医師も増えることが予想されます。時代の流れに合わせて、海外を見据えて医療を学びたい人にも岐阜大学はおすすめです。
地域枠学生は「地域医療医学センター」で、在学中から卒業後の研修・指定勤務までサポートを受けられる
岐阜大学医学部は推薦入試で地域枠が募集されています。地域枠の学生は岐阜大学にある地域医療医学センターで、卒業後の研修や勤務先のサポートを受けることができます。
地元が岐阜県や愛知県で「岐阜県の医療に貢献したい」と決めているなら、地域枠で推薦入試を考えてみるのも良いです。岐阜大学がサポートしてくれるため、卒業してからもスムーズに医師としての道を進むことができます。
質の高い医学教育の認定を受けており、グローバルスタンダードとして認められる医学教育
岐阜大学医学部は平成27年(2015年)に日本医学教育評価機構(JACME)という機関から、「医学教育分野別評価」という認定を受けています。JACMEは世界医学教育機構という別の機関から、国際的にも適用される機関として認められています。
要するに岐阜大学の医学教育は、「グローバルスタンダードとして評価できる」ということ。学習環境が整っている証といえます。
研究分野では岐阜薬科大学や他の研究機関と連携して、トップレベルの先進研究を行っている
岐阜大学は医学研究の分野で、岐阜薬科大学と連携しています。岐阜大学と岐阜薬科大学は協力して「連合創薬医療情報研究科」という大学院を運営していて、創薬の分野で先端研究を行っています。また、科学研究基盤センターという機関とも連携していて、岐阜大学の中だけでなくほかのさまざまな研究機関と医学の研究ができます。
部活動も積極的。文化部15団体、運動部20団体(2020年現在)
医学部は部活動も盛んです。2020年現在は文化部で15団体、運動部で20団体が活動していて、勉強だけでなく部活にも励むのはおすすめです。サブ的なメリットですが、より良い学生生活を楽しむなら部活が充実しているのは魅力です。
岐阜大学の医学部入試、攻略・対策のポイント!
ここまで岐阜大学医学部の特徴を紹介しましたが、医学生として学ぶには入試に合格する必要があります。一般入試を受けるにあたっての方向性・ポイントを紹介します。
共通テストは9割、2次でも8割の得点率が必要。「問題を正答できる精度」を高める必要あり
岐阜大学医学部は国公立医学部のため、ハードルはとても高いです。偏差値は67〜68ほどで、前期・後期とも共通テストで9割ほど必要。2次試験でも8割くらいは取らないと受からないため、「ミスをしないこと」が重要です。
そのためには問題を「ただ解けた」というだけでなく、「確実に解き切れたか?」をチェックしましょう。
- 思いついた解き方の方針や英文訳に、確信を持てたか?
- 計算はミスなく的確にできているか?
- スペルミスなど、もったいないミスがないか?
- 似た問題が出ても、また確実に解けそうか?
上のような点にいつも気をつけて、高い精度で的確に問題を解けるようになる必要があります。
問題自体は入試標準レベル。難問よりも標準問題の数・回数をこなす
岐阜大学医学部の入試は、工学部などの他学部と同じ問題になっています。つまり問題レベルは標準的で、高得点を取らないといけない点が違います。
医学部は「難易度の高い問題を解けるようにならないといけない」と考える人が多いですが、岐阜大学は前述のように「標準レベルの問題を、ミスなく解けること」がより大切です。
勉強の方向性としては難問を中心に扱うハイレベルな問題集より、標準的な問題を扱う問題集を中心にすると良いです。問題数と復習の回数をこなして精度を上げ、模試でのアウトプットでしっかり解けるかどうかをチェックしましょう。
これを共通テスト+2次の英・数・理で仕上げる必要があるため、やるべき勉強はかなり多くなります。ただ、到達できないレベルではないので、目標を見据えてしっかり頑張りましょう。
2次は面接があるものの、得点には含まれない。アドミッションポリシーや特徴の確認を
2次試験には前期・後期とも面接がありますが、得点には含まれていません。ただ、入試で点数がしっかり取れていても、医師になるのにふさわしい人物と判断されなければ、不合格になる可能性はあります。
上で紹介した岐阜大学の特徴を元に、「なぜ医師になりたいのか?」「なぜ岐阜大学で医学を学びたいのか?」を自分の言葉で伝えられるように準備しておきましょう。
また、岐阜大学のアドミッションポリシー(教育理念)も確認しておくと良いです。
【岐阜大学(全体)のアドミッションポリシー】
(岐阜大学HPより)
- 知的好奇心にあふれ,自ら進んで学ぼうとする人
- さまざまな見方や論理的な考え方ができる人
- 相手の意見を聴き,自分の考えを伝えることができる人
- 積極的に課題を探求しようとする人
- これからの地域や国際社会で活躍したい人
【岐阜大学(医学部)のアドミッションポリシー】
- 広い視野と豊かな教養を持ち,医学の修得に必要な基礎知識と学習スキルを持つ人
- 自ら考えて積極的に行動し,その結果を省察できる人
- 協調性に富み,相手の立場を尊重しつつ,自らの考えを表現できる人
- 向上心を持ち,仲間とともに生涯にわたり学ぶ意欲と探究心を持つ人
- 地域や国際社会で貢献する意志を持つ人
- 責任感と倫理感が強く,人間性豊かで,生命に対する畏敬の念を持つ人
ただし問題自体は標準的なので、「高いレベルでのスタンダード」が求められるという感じです。
標準的な問題を徹底的にこなし、常に的確に解けるよう演習しましょう。
なお、こうしたレベルの勉強をするなら、やっぱり医学部予備校は大切。質・量ともに高い水準の学習ができるので、ぜひ自分に合う予備校を見つけて集中学習してほしいと思います。